不動産会社は価格をどう査定するのか
空き家などの不動産を売り出そうという時、当然ながら少しでも高く売れるにこしたことはありませんが、近隣相場からあまりにもかけ離れた高値をつけてしまうと売れ残ってしまうリスクもあります。そこで、不動産会社に査定を依頼し、現時点で不動産を売り出すといくらで販売できるかを計算してもらいましょう。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
- 開発法
これらは、不動産の用途等に応じて使い分けられますが、理論上はどの方法を用いても同じ価格が導き出されます。
1、取引事例比較法は、周辺の不動産売買事例に基づき、駅からの距離や居住環境などの項目に応じた補正を行う方法です。マイホームや店舗・事務所などに適用され、同一需要圏内の地域で対象不動産と類似の取引が行われている場合に有効です。
2、原価法は、新たに土地を造成または建物を建設する場合に要する費用から不動産の価格を算出する方法です。建物の経過年数に応じて減価修正を行います。主に、建物や一戸建てに適用されます。
3、収益還元法は、家賃や駐車場収入などの不動産により得られる収益から費用を差し引いた金額を一定の利回りで割り引き、現在の価値を求める方法です。主に、投資用不動産に適用されます。
4、開発法は、販売総額から建物の建設費、土地の造成費、その他開発事業者が負担する費用を差し引いて土地の価格を求めます。開発事業者の視点で投資の採算性を見極めるために用いられる方法です。主に、分譲住宅や分譲マンションに適用されます。
不動産会社が算出した査定結果は、報告書として提示されます。そこに、不動産所有者の販売希望価格を考慮したうえで、実際に売り出す価格を決めていくことになります。
土地の価格はどう決めるか
同じ土地でも、想定される売却相手が最終消費者なのか、あるいは産業消費者なのかによって、その価格は異なります。最終消費者は最終的に土地を使用する者、産業消費者は最終消費者に販売する目的で土地を仕入れる者を指します。最終消費者が購入する価格(最終消費者価格)は産業消費者が仕入れる価格(産業消費者価格)に経費や利益を上乗せしたものであるため、最終消費者価格のほうが産業消費者価格よりも高くなります。
建物の価格はどう決めるか
建物の価格は、原価法では再調達価格(対象不動産を再度建設すると想定した際に必要とされる適正な原価の総額)を求めて、この再調達価格から経過年数に応じた減価部分を差し引くことで求めます(減価修正)。そのため、同じ構造の建物であっても経過年数が小さいほど価格は高くなります。
例えば、耐用年数と築年数がそれぞれ25年と10年、総面積×単価で算出する評価額が1,800万円の建物の場合、価格は1,800万円×[(25年-10年)÷25年]=1,080万円と求められます。
また、分譲マンションの場合、階数も価格の形成に大きく影響します。基準となる階(基準階)があり、一般的には基準階より高層階に行くほど価格が高く、また低層階に行くほど価格は低くなります。更に、同じ階の部屋であっても、方位や眺望の良さ、角部屋であるかなどによっても価格が異なります。