空き家発生の一番の原因は相続

空き家問題と相続の関係

空き家発生の一番の原因は相続です。国土交通省による平成26年空家実態調査では、空き家の取得原因として一番多かったのが相続で52.3%でした。併せて、日本司法書士会連合会が平成27年度に実施した「全国空き家問題110番」では、空き家となった理由として相続が約52%を占めています。空き家の相続登記が放置されることにより、今後、様々な問題発生が予想されます。

住宅を取得した経緯 人数 割合
新築した・新築を購入した 501 23%
中古を購入した 359 17%
相続した 1,119 52%
無償で譲渡された 46 2%
不明 35 2%
無回答 80 4%
総数 2,140

国土交通省「平成26年空家実態調査」より

調査の内容からは、空き家になっている建物を取得したのか、もしくは取得してから空き家になったのかは分かりませんが、取得の経緯としては相続が最も大きな原因になっています。また、同調査で建物が空き家となった理由として、住んでいた人の死亡であるケースが35%に上ることも明らかになっています。この調査結果から、空き家となっている建物の取得や人が住まなくなった理由と相続は密接に関係していることが分かります。

相続未登記と空き家の管理

前述の空家実態調査の実施において、所在地の特定できた空き家10,905件のうち、登記簿謄本を取得したものの所有者等が特定できなかったものが1,037件、所有者等を特定し調査票を送付したが宛先不明であったものが1,927件であったことが分かっています。つまり、登記簿が権利の現状を公示できていないものが少なくとも2,964件、調査対象全体の27%に上ることを示しています。これには様々な理由が考えられますが、その中には相当程度の相続未登記物件が含まれていると考えられます。

空家実態調査においては建物に関し、腐朽・破損の有無についても統計があり、調査対象の3,116件のうち相続により取得した建物に何らかの形で腐朽・破損があるものが594件となっています。空き家特措法においては、特定空き家等が問題となりますので、その適正な管理が重要となってきます。

空き家に関する相続手続きが行われないことは、相続人にとっては当事者意識の希薄化につながり、責任の所在が相続人間で曖昧になる原因となりますし、ひいては空き家の管理放棄につながり、空き家がいわゆる特定空き家化してしまう大きな原因となります。

相続手続きが進まない理由

このように、空き家に関する適正管理を進めるうえでは相続手続きを円滑に行うことが重要となりますが、手続きが円滑に進まない理由として下記が挙げられます。

相続手続きが円滑に進まない理由
  1. 数代にわたり相続未登記であり、当事者が多数存在する
  2. 遺産分割協議が難航している
  3. 相続人の判断能力の問題
  4. 相続人の一部が行方不明になっている場合

これらの問題を解決し、登記手続きにつなげていくことが空き家問題への取り組みを円滑にしていくためのカギとなります。それぞれの遺産分割調停の申し立て、成年後見制度等の活用、不在者財産管理人制度の利用など、司法書士などの法律の専門家が法的手続きに関与し問題を解決することが期待されています。

今後の課題

前述の空家実態調査では、人が住まなくなってから3年以上経っている空き家が約70%、昭和55年よりも前に建てられた空き家が約68%、空き家の現在の所有者の約70%が60歳以上であることが分かっています。将来に向けて、高齢の方が所有している利用可能性および価値ともに低くなっている建物を次の世代に承継するための方策が課題になると思われます。また、維持するための費用と手間だけがかかり続けることを踏まえれば、相続放棄により管理すべき当事者がいないが、相続財産管理制度の利用も難しいようなケースに対応するために、受け皿となる制度作りも検討すべき課題であると考えられます。

「民泊を適法に行うために」を読む

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