社会問題化する空き家対策

増え続ける全国の空き家

全国的に放置される空き家が増え続けています。総務省の「住宅・土地統計調査」によると、平成25年10月現在の空き家が総住宅数に占める割合は13.5%、およそ820万戸に達しています。野村総合研究所によると、平成30年には空き家率が約17%まで上がり、空き家数が1,000万戸を超えるという試算があります。今や空き家対策はここまで社会問題化しているのです。

空き家が増加する主な原因

空き家が増える原因は、大都市圏と地方では大きく異なりますが、現代日本人の生活環境の変化、日本人が新築住宅を好む傾向にあることなど多岐にわたります。特に、下記の原因が挙げられます。

空き家が増加する主な原因
  1. 新築住宅の供給過剰
  2. 過疎化による人口流出
  3. 遺産分割で揉めていて空き家を相続できない
  4. 空き家を相続したが莫大な解体費用がかかる
  5. 親の実家を相続したが処分方法がわからない

上記はあくまでも一部の原因です。特に、都市部において多くみられる原因の一つとして法規制を理由にした空き家の放置があります。中でも一番の原因として指摘されているのが「固定資産税の住宅用地特例」です。この特例は、住宅用地の固定資産税額が200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1に、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されるものです。要するに、古家であってもその土地に存在する限りこの特例を受けることができ、固定資産税は大幅に軽減されるのです。言い換えれば、古家を解体し更地にした途端、特例は受けられず固定資産税額が上がってしまうのです。結果、多くの土地所有者は空き家をそのまま放置しているのが現状です。

もう一つの理由に建築基準法や条例など建物に関する法規制を理由に空き家を放置している場合もあります。特に古家が建築された当時と現在の法規制が変更されていることがあります。建築基準法は大地震の度に幾度も改正されていますし、空き家のある地域の建物に関する条例なども変更されていることがあります。建築当初は適法であった建物も現行の法律には合わなくなっています。いわゆる既存不適格です。この場合、建物を解体してしまうと二度とその土地に建物を建築できない等の理由から、古家であっても建物を残しておこうと考える人がいることも理解できます。

なぜ社会問題化しているのか

お隣やご近所に空き家が放置されていて困っている方も多いでしょう。なぜ空き家は嫌われるのでしょうか。全く管理されなくなった空き家は無法地帯と化してしまうことがあるからです。

放置された空き家がもたらす影響
  1. 害獣や害虫が発生し住み着く
  2. 犯罪者が不法に住み着く
  3. 放火や空き巣などの犯罪を招く
  4. 老朽化した外壁等が崩れ落ち近隣住民が負傷する
  5. 不法投棄の温床となり悪臭を放つ
  6. 漏電等により出火原因となる
  7. 空き家自体の倒壊による被害
  8. 地域人口の減少による行政サービスの低下

「空き家対策特別措置法」を読む

おすすめ関連記事
京都空き家相談室に電話する
京都空き家相談室にメールする